琵琶湖生物多様性画像データベース

琵琶湖で見られる寄生虫

 他の生物の体表や体内に住み、その生物から栄養を取っている生物が寄生虫である。様々な分類群に寄生生活を送る生物が見られ、寄生虫という特別の分類群があるわけではない。寄生虫を宿している生物を宿主と呼び、寄生虫の幼虫と成虫が異なった宿主のなかで生活する場合には、それぞれは中間宿主、終宿主と呼ばれる。琵琶湖で記録された寄生虫の多くの宿主は魚類であるが、二枚貝類やエビ類、水鳥類からも記録がある。吸虫類は主として巻貝類、鉤頭動物は端脚類などの甲殻類を中間宿主として利用する。
 これまでに琵琶湖およびその周辺水域から見つかっている寄生虫は241種である。それらの種数を分類群ごとに示すと、アピコンプレックス4種、微胞子虫1種、ミクソゾア(粘液胞子虫類)15種、扁形動物161種(単生類45種、吸虫類89種、条虫類27種)、線形動物(線虫類)36種、鉤頭動物12種、環形動物(ヒル類)1種、節足動物11種(カイアシ類5種、等脚類3種、エラオ類2種、ダニ類1種)であり、扁形動物の種数が多い。
 琵琶湖に固有な寄生虫は意外と少なく、吸虫類のギギキュウチュウGenarchopsis gigi、条虫類のビワコシバンジョウチュウGangesia margolisiとアユハイトウジョウチュウProteocephalus plecoglossi、線虫類のビワコセンチュウRaphidascaris gigiの4種に過ぎない。いずれも終宿主は魚類である。

参考文献

  1. Urabe, M. (2020) Parasitic trematodes of Lake Biwa. In: Kawanabe, H., M. Nishino and M. Maehata (eds.), Lake Biwa: Interactions between Nature and People, second edition, Springer, Cham. pp. 207–209.
  2. Nagasawa, K. (2020) Parasitic animals of Lake Biwa. In: Kawanabe, H., M. Nishino and M. Maehata (eds.), Lake Biwa: Interactions between Nature and People, second edition, Springer, Cham. pp. 199–205.

*執筆 長澤和也

琵琶湖のいきもの検索ページ | トップページ | 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター
CLOSE