滋賀県では、2目9科17種の爬虫類が生息することが知られています。そのほかにも外来種のカミツキガメの記録がありますが、定着は確認されていません。爬虫類の中で、琵琶湖のような水面が生息範囲に含まれるのは、カメ類だけです。湖岸の植生の豊かな場所には、トカゲ類やヘビ類も生息していますが、湖岸と周辺環境が道路等で寸断されていることが多いため、個体数は多くありません。
カメ類ではニホンスッポン、ニホンイシガメ、ミナミイシガメ、クサガメ、ミシシッピアカミミガメの5種が知られていますが、このうちニホンスッポンとニホンイシガメ以外は外来種です。ミナミイシガメとクサガメについては、近年になって、古い文献に記載がないこと、遺伝的な研究結果などから外来種と考えられるようになりました。琵琶湖は広大な湖ですので、水中を移動できるカメ類がどの程度生息しているかはよくわかっていません。そもそも琵琶湖そのものでの発見例は少なく、比較的多く発見されているのは、水深の浅い場所や流入する水路などです。カメ類は産卵のためには上陸する必要がありますが、湖岸には石組みなどの人工護岸が多く、産卵に適した傾斜の緩やかな自然の湖岸は少なくなりました。そのため、琵琶湖そのものに生息している個体数は少ないのかもしれません。近年は、ミシシッピアカミミガメが全国的にもいちじるしく増加しており、発見できるカメのほとんどが、ミシシッピアカミミガメという状況になりました。ミシシッピアカミミガメはニホンイシガメに比べると大きく成長しますし、気も荒く、餌や生息場所をめぐって競合するため、ニホンイシガメにとっては大きな脅威となっています。
ヘビ類では、アオダイショウやシマヘビが大型で目立つこともあって、比較的見られる種でしたが、近年、個体数は減少しています。湖岸のヨシ原では、繁殖期の鳥やカエルを狙って現れますし、水門の隙間は隠れ場所や脱皮のために利用されています。小型のヘビであるヒバカリは、他のヘビに比べると狭い範囲でも生息が可能と考えられますので、水田近くの湖岸には比較的個体数が多いようです。そのほか、湖岸のトイレなどの建造物にはニホンヤモリが少なくありません。街灯の周りなどでは特徴的な糞がよく確認されています。
*執筆 田辺真吾・松井正文