オウミア  No.5

琵琶湖研究所ニュース

1983年5月

編集・発行/滋賀県琵琶湖研究所
〒520-0806 大津市打出浜1-10
TEL 077-526-4800


●琵琶湖研究所初年度の成果(1)・プロジェクト研究報告
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特集・滋賀県の地域経済と琵琶湖保全
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[琵琶湖研究所初年度の成果(1)]
プロジェクト研究報告

 研究所が発足して丸1年。初年度(1982年度)のプロジェクト研究の報告書がまとまりました。*データベース開発、*琵琶湖集水域の現況と湖水への物質移動、*湖水の運動・混合と水質変動の3プロジェクトの1年間の研究成果で、全部で20分冊からなっています。個々の報告内客は逐次紹介する予定ですが、今回は全般にわたって紹介します。なお、報告書は、琵研情報室で閲覧できます。

コンピュータサイエンス
 研究所の基盤整備を主目的とするデータベース開発のプロジェクトは、広い意味のコンピュータサイエンスで、様々なデータや文献情報の入力およびその利用のためのソフトウェアの開発を行っています。
 現在(1983年3月31日現在)、利用可能なデータ類は次の通りです。
*琵琶湖関係
 流向・流速、水温、水質、流入河川水質、水位、瀬田川洗堰放流量、風向・風速など
*国土数値情報
 土地利用面積など
*図書・文献情報
 書誌データ(3,550件)
 文献データ(2,610件)
*地図情報
 ランドサットデータ、植生図など
 これら基本データや文献情報は毎年更新していく必要がありますし、ソフトウェアもコンピユータ利用の効率化をめざしてひきつづき取り組んでいかなければなりません。このため今年度(1983年度)からは情報管理部門の通常業務にも組み込まれています。

データベース開発
1 データベース管理システム の開発
2 琵琶湖 データベースシステムの整備に関する研究
3 図書、文献MARC磁器テープの作成
4 コンピュータシステム基本ソフトウェアの開発
琵琶湖集水域の 現況と湖水への物質移動に関する研究
1 デジタル画像分析システム の開発
2 琵琶湖集水域の降水量分布研究
3 陸地面の蒸発散量のメッシュ データ化に関する研究
4 植物および植生分布資料のデータベース化
5 河川による物質流送に関する研究
6 琵琶湖集水域地下水の予備的研究
7 琵琶湖沿岸部水域の水生植物の生態研究
8 琵琶湖内湖の微生物群集の構造と機能の研究
9 琵琶湖と滋賀県の経済活動に関する基礎的総合的研究
10 琵琶湖研究の支援システムの開発に関する研究
11 都市化・工業化にともなう琵琶湖集水域における土地利用と地域構造の変化に関する研究
12 湖畔住民の生活変遷と琵琶湖像の研究
13 琵琶湖集水域地図情報の数値化に関する研究
湖水の運動・混合と水質変動に関する研究
1 琵琶湖における堆積環境と水質変動に関する研究
2 琵琶湖における風系と湖流に関する研究
3 湖水の運動・混合過程に関する水理滴研究

水文環境の解明に向けて
 集水域の物質循環、とくに琵琶湖への汚濁負荷量の正確な推定に不可欠な水文環境の研究が手がけられています。降水量や蒸発散量の推定、その地域特性の把握、地下水量と水質の推定などのプロジェクトで、初年度は予備的研究の段階ですが、従来、正確な推定がむずかしいとされていた分野だけに、解明されれば集水域の水文環境の新しい図式がえがかれるものと期待されます。

湖岸システム
 琵琶湖の環境にとって極めて重要な役割を果たすといわれる湖岸や内湖の環境についてもアプローチがなされています。
 従来、既存の研究機関でも取り組まれていた研究テーマですが、当研究所でも研究の第1線に積極的に参画する予定で、初年度は主として陸水生態学的アプローチによる成果がまとめられています。今年度からは独立したプロジェクト(湖岸システムの機能とその評価に関する総合研究)に発展しています。

社会人文科学からのアプロ一チ
 琵琶湖とその集水域を一体として研究対象とする当研究所では、自然科学の分野だけでなく社会科学、人文科学の分野でも琵琶湖研究にとりくんでいます。初年度の報告内容は地域経済(文献資科情報の整理とモデル分析)、農村社会学の視座からみた集水域の地域構造、民族学の手法を 駆使した琵琶湖像の解明などで、琵琶湖研究の新しい方法の確立をめざしています。

琵琶湖の水の動き
 琵琶湖の水質変動を考えるうえで基礎となる湖水の動きを解明することをめざして地球物理学、水理学の面からの研究成果がまとめられています。
 琵琶湖における風系と湖流に関する研究では、沖の白石に設置された気象ステーションの風向風速データが解析され、湖面上の風と陸地の風のちがいや風系と湖流との関係などについて新しい知見が得られました。
 湖水の運動と混合過程に関する水理学的研究では、水理模型を使った北湖環流系の再現実験の成果や波高変化モデル、物質収支モデルの検討結果などがまとめられています。

湖底堆積環境
 湖水の水質変動に重要な役割を果たす潮底堆積物の動態についても研究がはじめられています。湖の深部への物質の負荷量、有機物の分解、酸素消費、堆積速度などの測定の必要性が強調されており、今年度からは本格的な野外調査が計画されています。


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