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世界の湖(23) サグリン・ダム湖(インドネシア)

 世界で最も稠密な人口密度をもつインドネシアの首都ジャカルタは国士面積のわずか7%をしめるジャワ島の西端に位置します。ここから南東へ百数十キロ、車で4、5時間のところに世界最大の人口密度をもつ都市バンドン(人口200万、人口密度1200人/km2)があります。このバンドンを流域内にもち、南東から北西方向へ流下し、ジャワ海に注ぐのが流域面積6000km2(琵琶湖集水域の約2倍)のチタラム川で、この川に建設された、または計画中の5つのダムの最上流に位置するのがサグリンダムです。
 サグリンダムは1985年インドネシア電力公社によって建設開始されたロックフィルダムで、高水位は標高643mに位置し、ダムサイトにおける水深約100m、貯水量約10億㎥(琵琶湖南湖の5倍)、湖水面積55ku(南湖とほぼ同じ)です。ダムによる発電規模は当初700メガワット(天ヶ瀬ダムの約80%弱)、最終的には1400メガワットです。この水域の開発はインドネシアの国土開発計画の一環として1960年代に開始され、サグリンダム自体は1988年に完成しました。

 このダムは地域開発上重要であるばかりでなく、ダム建設の影響評価の上でも非常に重要です。とくに問題となっているのは水没集落住民の生活補償とダムの周囲から流出する土砂によるダム水深の減少です。水没した集落数は35、湖底に沈んだ水田や耕作地約5800haを失ったのは、1万家族で、そのうち2000家族は国の政策に従ってジャワ島以外の島へ移住させ、約6000家族には補償金をもとにバンドン周辺で独自で生計をたてられるようにし、のこりはダム周辺で漁業、小物売り、農園労働などで生計をたてられるようにと計画がたてられました。しかし、住民の多くはそれまでは手つかずだったダム周辺の丘陵地の樹木を伐採し、畑を耕し始めたため周辺ほぼ全域にわたり表土がむき出しになり、ダム湖底への深刻な土壌流入問題をひきおこすことになりました。

   

樹木が伐採され表土がむき出しとなったダム湖岸
   

 バンドン市内にあるパジャジ ャラン大学生態学研究所ではこれらの住民の行動を追跡調査し、必要に応じて技術指導もおこなっています。また、研究所はダム建設が始まってから現在まで長期にわたりダムの環境影響評価調査をおこなっています。しかし、土壌流入によってダムの寿命が計画時に比較し大きく縮むことは避けられない見通しです。

(中村 正久)
(大矢 釼治  国連地域開発センター)



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