1982年度のプロジェクト研究の成果報告の2同目として、本号では、3つのプロジェクトをとりあげ、今年度の活動状況も合わせて紹介します。
| 図1 漏水計の概念図 |
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図2 琵琶湖湖底の地下水漏出観測点 |
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湖東平野や比良山などの扇状地を流れる多くの川の下流は“水なし川”となっている。そこでは、川の水が地下にもぐり浅井戸として、またところによっては“ドッコイショ”とよばれる自噴式井戸として利用されてきた。
だが水道の普及とともに、井戸水を利用している地区もしだいに少なくなった。最近では、琵琶湖東岸のドッコイショが自噴しなくなっている地区もでてきている。そして今では、井戸堀りをする“エンコヤさん”をみるのもまれになってしまった。
これらのことは、地下水の動きや、生活様式の変化にともなって水利用の仕方も変わってきていることを示している。地下水の動きは、河川水にくらべてゆっくりとしており、地下に浸透してから琵琶湖に流入するまでに長い年月がかかると考えられるので、地下水にはわれわれの生活様式の変化の歴史も記録されているといえよう。
本研究は、琵琶湖の水文収支の一環をなす地下水の流入量と、琵琶湖の水質変動の一要因となる地下水による物質輸送量の推定を目的としている。湖底から漏出している地下水に関する研究は、日本国内ではこれまできわめて少なかった。琵琶湖でも、京都教育大の川端博教授が、電気伝導度と水温の観測によって、漏出地下水の可能性を報告しているにすぎない。また、日本の他の湖沼でも、潮底からの漏出地下水を直接観測した例はない。そこで本研究では、まず湖底からの漏出地下水を採集・測定する方法を確立するとともに、湖岸の浅井戸の地下水と湖底からの漏出地下水の動きおよび水質を系統的に関連づけて調査をすすめている。
1982年度には、地下水の収支・運動・存在様式、地下水への物質負荷の機構、水質の実態などに関する資科の収集・解析によって、具体的な研究方法を検討し、図1のような湖底からの地下水を採集する漏出計を試作した。漏出計は一辺50cm、高さ17cmのマス形の鉄わくで、図のように湖底にうめこんで漏出地下水を採集する。昨年度は、志賀町和邇浜での予備的観測をすすめ、採集法をほぼ確立した。その結果によると、漏出地下水の動きは平均1cm/日程度で、漏出地下水のアンモニア態窒素の濃度は湖岸の浅井戸の地下水の濃度にくらべて低かった。これは、地下水が湖底に漏出する過程で、微生物による硝化・脱窒作用が起っている可能性を示す。1983年度の研究にあたっては、(1)水質の時間的変動が大きいので、長期観測が必要であること、(2)漏出地下水の水質変動、とくに微生物の関与する水質形成機構を調査するためにモデル地区を設けること、(3)地質・地形的条件に対応した漏出地下水の流出機構を明らかにすること、などが重要と判断された。以上の点を考慮して、志賀町和邇浜や草津市志那町、今津町をモデル地区とし、地質・地形条件の異なる琵琶湖西岸治いに21ケ所の観測点を図2のように設けて、本年度の調査をすすめている。 |