琵琶湖集水域地下水の研究
湖畔住民の生活変遷と琵琶湖像の解明
●河川による物質流送に関する研究
琵琶湖研究所に期待する
特集・琵琶湖のスジエビ
世界の湖3 オンタリオ湖(アメリカ・カナダ)
環境政策と住民参加
研究サロン



[河川のよる物質流送に関する研究]

 このプロジェクトは、1982年度から3年間の予定で行われている。
 陸上での人間や生物の活動の結果発生する栄養物質は、水の循環にともなって琵琶湖に流入し、その量がふえると湖水の富栄養化をおこす。物質輸送の主要な経路は河川であるから、琵琶湖に流入する河川の水質と流量とを正確に把握することは、湖の水質予測や富栄養化防止のためにぜひ必要である。しかし琵琶湖への流入河川は、重要な一級河川だけでも125本もあり、そのすべてについて観測を実施するのは容易なことではない。また、おなじ川でも季節や年によって流量や水質に非常な差があり、1回の豪雨で平水時の数年分の物質が流出することもめずらしくない。それゆえ、河川を通じて湖に流入する物質量を精度高く推定するためには、一方では広域的な調査が、他方では数年以上の長期にわたるできるだけ頻繁な観測が必要となる。
 幸い、1978年から3年間にわたって行われた文部省科学研究費による環境科学持別研究「びわ湖およびその集水域の環境動態」班では、本プロジェクトの分担者である国松(滋賀県立短大、琵研)が、琵琶湖に流入する134河川について6回の一斉調査を行い、また瀬田川、疎水、三田川、真野川で毎日観測を実施した。おなじく吉岡(京大・防災研)も主要10河川での毎週観測を行ったので、時間的・空間的に密度の高い水質・流量のデータが蓄積してきた。本プロジェクトでは、その後をうけてさらに長期にわたるデー夕の集積をはかることを第1の目的とし、河川規模や地質、植生、土地利用形態、人口密度など集水域状況の異なる真野川、芹川、安曇川、野洲川、姉川、石田川などで週1回以上の流量測定とN、P、Na、K、Ca、Mg、Cl、HCO3、SO4、Si02等の分析をつづけている。
 これまでの調査結果によると、農耕地河川である真野川では、水田の代かき田植えの時期にあたる4月下旬〜5月にかけてT一P(全リン)濃度がやや高くなり、都市河川の三田川ではT一P、PO4一P(リン酸態のリン)ともに夏に濃度が低く、冬に上昇するという大まかな季節変動が認められた。また、降雨時の水質の時間変動を両河川で測定したところ、真野川では降りはじめにT−P濃度が急激に増加し、その後は流量と並行した変化を示したが、河床の2〜3面がコンクリート張りとなっている都市型河川の三田川では、降雨が始まると、すぐにT一P濃度が急激に上昇して水位が最高になる前にピークに達し、以後は流量が増えていくにもかかわらず濃度は急速に低くなることがわかった。このような降雨初期のリン濃度の上昇は雨水による押し流し効果によるものと思われる。その後の濃度変化が両河川で異なるのは、河床の状態のちがいによるものであろう。降雨時の流出の測定は、琵琶湖流域では数例しかないので本年度も続けて行う予定である。
 本プロジェクトのもう一つの目的は、各河川の流域持性(植生、土地利用形態、人口、工業生産など)と河川水質との間の相関関係にもとずいて、前者から後者を推定することである。吉岡のデータの分析結果によると、両者の間には密接な相関があり、かなりの精度で推定が可能なことがわかっている。本年度は、国松の134河川の水質データや「データベース開発」プロジェクトによって集積された流域特性、河川流域境界線データ、「植生資料のデータベース化」プロジェクトによる現存植生図データなどの新しい数値資料をもとに、より精度の高い推定を試みる予定である。


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