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琵琶湖集水域地下水の研究
●湖畔住民の生活変遷と琵琶湖像の解明
河川による物質流送に関する研究
琵琶湖研究所に期待する
特集・琵琶湖のスジエビ
世界の湖3 オンタリオ湖(アメリカ・カナダ)
環境政策と住民参加
研究サロン



[湖畔住民の生活変遷と琵琶湖像の解明]
湖畔の水利用アンケートから

 このプロジェクトの目的は、湖畔住民が水や琵琶湖に対してもつイメージと生活との関連を明らかにすることである。初年度は、「生活の場における水利用実態の把握」に焦点をしぼった。特定地域の調査と広域調査とを並行して行ったが、ここでは後者(アンケート方式)の結果のあらましを報告する。

アンケート調査の日的と方法
おもな目的を次の3点においた。1)水利用変化の意味:生活場面における水利用変化の契機を“水道導入”というできごとに求め、その前後の利用実態の差異を明らかにし、その背後にひそむ人々の行動と意識を生活関連の中でとらえること。2)水に対するイメージ:水と水環境空間に対する人々のイメージを抽出し、精神世界における水あるいは水環境の意味をさぐり出すこと。3)水環境の管理:水環境の管理実態とそれに対する人々の意識を明らかにすること。
 調査対象は、湖岸から直線距離でおよそ2km以内にあるすべての自治会(ただし人口集中地区は除く)とし、それぞれ会長さんあてに郵送した。従って、どちらかといえば農村的集落が多い。対象自治会342のうち293から回答を返送していただいた。

結果のあらまし
 私たちは、さまざまな生活行動の中で、水を水として直接に利用し、また水の存在する場すなわち水環境を利用している。このアンケートでは、このような行動を「生産」「生活」「象徴」の3つのカテゴリーに分け、それぞれからまんべんなく31項目をとり出して、それぞれの行動がどのような種類の水(水源別種類を想定)とかかわりが深いかを調べた。その結果の一部、12項目についてまとめたものが表1である。これによると、水道以前にはさまぎまな水源に依存していた水利用行動が、水道に一元化されてきたことが明瞭にうかがわれる。この傾向は、持に「生活」関係の行動に著しい。またこの利用パターンをくわしく統計的に分析してみると、水道以前には「生活」と密接に結びついていた「象徴」行動が、生活から分離してきたことがよみとれる。
図1 水道化以前の飲み水の供給源
 また地域別の特色を見ると、たとえば図1の飲用水の例が示すように、潮西、湖北地方では水道化以前に潮の水や山・川水を利用していた頻度が高い。また「井戸」とひと口にいっても、「取り井戸」「掘りぬき井戸」など、それぞれの地域の条件に応じた持色ある水利用技術があったことが明らかになった。
 水に対するイメージの調査では、水利用のイメージと利用実態のずれを水源別に比較した。詳細ははぶくが、全体としては次のようなことがいえる。 イメージ項目はたいへん実利的な内容(持に生産・生活)にかたよっており、実態の中にみられる象徴行動が重要視されていないという点である。 つまり実態として象徴的行動を行っていても、いざ意識的な利用を考えるとこれらの項目は欠落してしまう。あえて飛躍して解釈するならば、直接的な物の生産を重視する日本人の生活心理のあらわれではないだろうか。
 第3の水環境管理については、今回は湖岸・河川の清掃主体についての調査のみに止まった。表2にその結果を示すが、湖岸の清掃は集落、市町村が、河川の清掃は集落が主体となっている地区が多い。また、「本来はどうあるべきか」という質問に対しては、集落という答が減少し、国・県・市町村などの行政体に依存しょうとする傾向が強くなった。
 今年度は、上記の広域調査結果をふまえ、より深い分析をめざした現地調査を行う予定である。

>>表1 利用用途別にみた水源の使い分 け(水道化以前・以後)

>>表2 湖岸・河川の清掃主体別自治会数 (割合)


[所員の紹介]

研究員 熊谷道夫 くまがいみちお
(1)職名:研究員
(2)生年:1951(昭和26)年
(3)出身地:島根県
(4)最終学歴(卒業年):京都大学大学院(昭和58年)
(5)学位:京都大学理学修士
(6)専門分野:地球物理学
(7)ひとこと:私が興味があるのは、琵琶湖におけるエネルギ一の輸送と、それに付随する様々な現象との関連を明らかにすることです。琵琶湖の”美しさ”と”醜さ”を、”安定”、”不安定”といった物理学的表現法で描写してみたいという芸術的(?)意欲に燃えています。


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